シネマティックグレーディング
ティール&オレンジで映画の色を作る
YouTubeの旅動画からハリウッド映画まで使われるティール&オレンジ。 “なんとなく青とオレンジ”ではなく、補色のコントラストという仕組みで理解すれば、誰でも安定して映画っぽい画を作れます。カラーホイールの使い方から加減まで解説します。
なぜ“ティール&オレンジ”は映画っぽいのか
ティール(青緑)とオレンジは色相環で正反対にある補色です。補色を隣り合わせると、互いを引き立て合ってコントラストと奥行きが生まれます。 しかも人の肌はオレンジ寄り。背景をティールに寄せると、人物が自然に浮き上がる——これが“映画っぽさ”の正体です。
作る前に:まず補正で土台を整える
グレーディングは補正の後。露出・ホワイトバランス・コントラストを整えてから色を乗せます。土台が傾いたまま色を振ると、カットごとにバラつきます(詳しくはLumetri徹底解説)。
手順:カラーホイールで補色を入れる
- 調整レイヤーをシーケンス全体に敷く クリップ1つずつではなく、上のトラックに調整レイヤーを置いてまとめて適用。管理が楽で統一感も出ます。
- シャドウを“ティール”へ Lumetriのカラーホイールで、シャドウのホイールを青緑方向へ少し。暗部が締まります。
- ハイライトを“オレンジ”へ ハイライトのホイールを橙方向へ少し。光が暖かくなります。
- 肌を守る 肌が緑に転んだら、HSLセカンダリで肌だけ橙に戻す。ベクトルスコープのスキントーンラインで確認。
やりすぎないための3原則
- ほんの少し:ホイールは大きく振らない。“言われないと気づかない”程度が上品。
- 肌を最優先:肌が不自然になったら即やめる。人物が主役。
- リファレンスを見る:好きな映画のワンシーンを横に置き、それに寄せる。感覚に頼らない。
色を資産化する
気に入った色ができたら、.cubeとして書き出して再利用しましょう。次の案件でワンクリック適用できます(詳しくはLUTの使い方と自作)。
・全体が濁る → 彩度の上げすぎ。ベクトルスコープで確認。
・カットで色が違う → 調整レイヤーで一括に。各クリップ個別調整はズレの元。
・わざとらしい → 効果を弱める。強度・振り幅を下げる。
よくある質問
ティール&オレンジ以外の“映画色”は?
作品のトーンで選びます。ノスタルジックなら黄み+緑(ヴィンテージ)、クールなら青一色寄り、暖かい日常なら低彩度の暖色など。補色でコントラストを作る発想は共通です。
LUTを当てるのと何が違う?
LUTは誰かの“完成した色”。手で作れば自分の意図で調整でき、素材に合わせて微調整もできます。まず手で作り、良い色を.cube化して次に使い回すのが理想です。
安っぽく見えてしまう。
ほぼ“やりすぎ”が原因です。振り幅を半分に。肌の自然さを最優先し、リファレンス映像に寄せると一気に上品になります。
まとめ
シネマティックの近道は「補正で土台 → 調整レイヤーで一括 → シャドウに青・ハイライトと肌に橙 → やりすぎない」。 補色のコントラストという仕組みさえ掴めば、感覚に頼らず“映画の色”を再現できます。まずは控えめから試してください。
一次情報(英語)
Fstoppers:How to Create a Cinematic Color Grade →Denny’s Tips:The Orange and Teal Look in Premiere Pro →
Pixflow:Color Grading Step-by-Step Guide →
この記事は英語の一次情報をもとに検証・再構成したものです。UIや名称はバージョンにより異なる場合があります。